【ムチウチ損傷】

受傷者以外には理解されない苦しさ交通事故の代名詞の如く使われているが、交通事情が混雑するにしたがつて、受傷者が増えても減少することはないだろう。本受傷名は、その受傷機転によってつけられた名称であって、「鞭打ち症」と書く場合がある。従って、損傷の部位や程度を示したもので、頭部外傷やその後遺症とは区別するのが本来であるが、交通事故=ムチウチ損傷になってしまった感である。

新鮮ムチウチ損傷の基本処置は、頚部の固定と安静であることは言うまでもない。まず、受傷後は、2~3週間が安静の目安であり、外出や就業を禁止する意味で入院するとが望ましい。だが、休業補償が充分であれば別として、自営業などではお客様の減少までは補償してくれない。従って、入院はしたいのではあるが、生活のために無理して働く人のほうが多いのだ。このムチウチ症の苦しみは言うにいえないものの一つだ。まして、初体験であれば表現力も乏しい、受傷当座は周囲の者も同情してくれるが、日がたつにつれて嫌な顔をしていると、そばによってこなくなり孤独になる。本人もやり場がなくなると、加害者に対して一層被害観念がつのり、やることなすことが愚痴っぽくなる。

 病院での措置も、カラー型装具などで固定して、鎮痛剤、牽引などの治療でこれといって積極的な治療もない。受傷以来、視力が低下すると言えば眼科、耳鳴りや眩暈がすると訴えると耳鼻科。背中の筋肉が痛いといえば、事故には関係ないので別の治療法になる。主治医に、あれもこと訴えると「いいかげんに、働く意欲を持ちなさい」と反対に意見される。

ムチウチ損傷の患者は、気分が半分だと決め付ける意見があるが、実際はそうではない。やはり、事故の状況を再現し、詳しく受傷当時の姿勢とか、加害者の衝突の様子によって、疼痛部位の把握をしておくことが大切だ。

ムチウチ損傷の原理としては、交通事故に際して、よく実験ダミーで衝突時の実験が実施されているので想像できるように、衝突の衝撃の強い外力によって頭部は座席の枕に叩きつけられ頚部の可動域を超えることによって頚部の靭帯、軟骨、椎間板、骨などを損傷する。これを称して、ちょうど、鞭で打つような受傷過程なのであることから、ムチウチ症候群のような名称がつけられた。

 受傷者の多くは、胸鎖乳突筋や肩甲挙筋・僧帽筋などに痛みを訴える。その中でも、胸鎖乳突筋は副神経の脊髄根と、第二頸神経の支配を受けており、特に息を吸う際の吸気助筋の代表である。従って、外気圧の変化をキャッチしたり、耳管の調節をするのに重要なはたらきがある。

〔自己判断〕


(1)
衝突の瞬間に意識がもうろうとした―これは脳底動脈の循環不全を起こしたもので、

1〜2週間安静にするのとMRIによる診断を受けることをお勧めする。

(2) ショックで嘔吐の症状が出たもの―よく安静をとらないと、後になって気圧の影響が

著しく典型的な゛天気予報屋になり、不定愁訴も多くなる。

(3) ムチウチ損傷に類似した病気もある―臨床検査のなかには、スパーリングとかジャク

ソン・テストなどさまざまな検査法があり、ある程度区別できるが、既往症に頚椎症とか頸腕症候群と診断されたことがあれば、引き金となって、まぬがれない。

(4) その他―刺針療法を受ける際のアドバイスとして、適応疾患順からいうと坐骨神経痛から四番目のランキングにはいる。平均の通院回数が30回弱であり、年齢も30.3歳、臨床成績も70%改善となっている。特に、ムチウチ症候群の場合は、60~70%良好ならば、後は自然に治癒するし時間の問題だ。









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